挑戦者新井田は22歳の俊英。左腕から自由自在に放たれるジャブ、アッパー、フックはタイミング、パンチの伸び共に、非凡さを感じさせる。
その左の使い方は、S・フェザー級世界王者ヘナロ・エルナンデスに似ていると思うのは自分だけではないだろう。
一方、今年4月星野敬太郎を倒し、2度目の王座に返り咲いたチャナは、35歳の大ベテラン。
星野との試合は駆け引きのうまさが、やたらと目についていた。またゆっくりとした間合いの取り方は、天下一品。
新井田としては、チャンピオンのペースに合わせず、自分のリズムで試合を組み立てるべきであろう。
新井田は、王者チャナを上回るだけの素質を持っている。ここ最近でも、天賦の才だけなら、日本人ボクサー(世界王者を含め)の中でもピカイチであろう。挑戦者新井田有利といえるのではないか。


新井田ガードをがっちり固め、ジャブを伸ばす。挑戦者らしく先にパンチを放つ。チャナは
足を使い距離を取り、間合いを計る。パンチはほとんど出さない。
チャナが踏み込んできたところに新井田の左フックが浅くヒット。
ラウンド後半チャナのパンチで新井田の体がぐらついた。何とか踏みとどまり、うまくごまかした
新井田。
10-9(チャナ優勢)
新井田ガードを固めゆっくりと前に出る。チャナは距離を取り、間合いを計る。チャナが踏み
込んで右ストレートを放ち、新井田の顔面に軽くヒット。
新井田、チャナが踏み込んできたところをボディへカウンターパンチを放つ。
チャナは有効打はほとんどなし。
10-9(新井田優勢)

チャナはエンジンのかかりが遅いようだ。手数が少なく、有効打はほとんどない。
新井田は、チャナのボディの連打を浴びせる。
チャナに焦りの色はないが、パンチのヒット数は新井田が上。
新井田の表情には緊張の色がうかがえるが、パンチはうたせていない。
10-9(新井田優勢)

このラウンドは、お互い警戒心が強く、パンチの交換が少ない。だが、パンチをコンビネーション
で放っているのは新井田。
10-9(新井田優勢)

新井田、チャナのボディに連打を浴びせる。チャナ、右オーバーハンドを新井田に軽くヒット。
中盤のパンチの交換は互角か。
新井田の左フックがチャナにクリーンヒット。チャナの体が一瞬ぐらつく。
チャナはクリンチで後続打を許さない。
10-9(新井田優勢)

新井田、ジャブをダブルで放つ。チャナが突進して新井田のボディに連打を放ってきた。
ロープ際でチャナの左フックが新井田のアゴにクリーンヒット。
新井田も負けずにパンチを返すが、ややチャナの勢いにおされる。
10-9(チャナ優勢)

新井田、ジャブをスムーズに放つ。チャナは距離を取ってこれをはずす。
チャナは踏み込んで左フックをヒット。
10-9(チャナ優勢)

新井田、ジャブをスムーズに繰り出すが、後続打があまり出ない。
チャナ、いきなりの右ストレートを放ち、新井田を調子づかせない。
チャナの右ストレートが、新井田にヒット。新井田も右ストレートをヒット。
10-9(チャナ優勢)

新井田、左、右、左のコンビネーションでチャナを攻める。
チャナは疲れからか、パンチを放った後のバランスが悪い。
新井田の勢いを止めようと、必死に打ち返すが、バランスが悪く、空振りが多い。
10-9(新井田優勢)

チャナの疲労は大きい。バランスが悪くなっている。
だがこのラウンド、新井田はほとんどパンチを出さない。チャナも無理せず、スタミナを温存。
10-9(新井田優勢)

この試合で一番パンチの交換が多いラウンド。
新井田は、左フック、右ストレートを好打。チャナも必死にパンチを返すが、空振りが多い。
10-9(新井田優勢)

チャナの左フックがヒット。
新井田はこのラウンド、気持ちが空回りか、空振りが多い。パンチの振りも大きい。
チャナは、ポイント有利だと思っているのか、無理をせずマイペース。
10-9(チャナ優勢)
チャナ
チャナ 10 9 9 9 9 10 10 10 9 9 9 10 113
ROUND 1R 2R 3R 4R 5R 6R 7R 8R 9R 10R 11R 12R TOTAL
新井田 9 10 10 10 10 9 9 9 10 10 10 9 115
新井田
チャナ陣営は勝利を確信していたようだ。自分には信じられなかった。明らかにクリーンヒット、手数とも新井田の方が上だったように思う。
新井田は自ら攻めてチャンスを作る場面があまりなかった。カウンターパンチャータイプだといえるだろう。
チャナ、新井田とも独特の間合いを持つ選手だった。駆け引きではチャナ有利と試合前に予想したが、なかなかどうして新井田も負けてはいなかった。
新井田はこれから、自らチャンスを作ることを覚えれば、人気が上がっていくだろう。安定王者になる素質は十分ある。ディフェンスに回ってもこれほど安心してみていられる日本人ボクサーは現在いないのではないだろうか。

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