試合レポート


2000年4月23日愛知県・名古屋総合体育館レインボーホール

WBA世界スーパー・フライ級タイトルマッチ

王者戸高秀樹 (日本) 対 挑戦者WBA同級3位ヨックタイ・シットオー(タイ)

  • オフィシャル

    • 【ジャッジ】
      • ハンク・メイヤース(オランダ)
      • ロバート・ワトソン(アメリカ)
      • アルバート・ウィレンスキー(アメリカ)

    • 【レフリー】
      • スタンリー・クリストドーロー(南アフリカ)

試合前の控え室では両者落ち着いている。王者戸高の精神面は問題なさそうだ。
だが右顔面の湿疹がひどい。減量の影響と伝えられているだけに体調面がきがかり。
ヨックタイの陣営にはイスマエル・サラス、トレーナーがセコンドとして参加。
戸高陣営にはマック・クリハラ、トレーナーがセコンドに参加。
尚この試合、使用グローブは両者異なる色のものを使用。 王者、赤、挑戦者、青となっている。

  • 1R
    試合最初のパンチは戸高の右フック。 ヨックタイは左ジャブでようすをうかかがう。
    戸高は右フックをかぶせる作戦のようだ。 ヨックタイはジャブを多用。
    戸高はこれを高いガードでガードしているが、時折ガードの真中からヒットされる。
    ヨックタイは接近してからショートの右アッパーを戸高のガードの合間からヒットさせる。
    そして終了間際力強い右ストレートを戸高にクリーンヒットさせる。 戸高も、ジャブを放ちながら距離をつめボディ・アッパーをヒットさせるがクリーンヒットは少ない。
    ヨックタイ優勢
  • 2R
    ヨックタイ、このラウンドも左ジャブを多用。左ジャブ、フックとテンポ良く繰り出す。
    右はストレート、アッパーを時折放つ。 戸高いきなりの右ストーレートをクリーンヒット、コンビネーションを続ける。
    しかしヨックタイもあわてない。 戸高は、距離を詰めながら右フックをヨックタイのテンプルにヒットさせる。
    戸高パンチの交換ではやや負けている気がするが、パンチの効果では上か。
    戸高優勢
  • 3R
    戸高が接近戦を挑み、ヨックタイはこれを受け止め打ち合いに入った。
    ヨックタイの右アッパー、左フックがヒット。負けずに左右のコンビネーションを返す戸高。
    うちつうたれつの打撃戦に突入。ヨックタイの右アッパー、右ストレートをまともに 浴び、強烈なパンチで体を横に向ける戸高。戸高が下がる。
    戸高ピンチ。
    ヨックタイ優勢。
  • 4R
    ヨックタイのジャブのテンポがいい。 接近しては右アッパーをことごとく戸にヒットさせる。
    戸高が下がり始める。ペースはヨックタイだ。 戸高パンチを返すが、ヨックタイは下がらない。このラウンドはヨックタイ、ボディ攻撃も 交えてきた。
    徐々に戸高にダメージを蓄積させようとしているのか。 戸高の闘志は衰えていないが、このままのペースで打ち合えば後半捕まってしまうと 思う。
    戸高には打開策が必要だ。
    ヨックタイ優勢
  • 5R
    両者短い距離でパンチを交換するが、打ち合いを挑んでいるのはヨックタイのほう。 戸高は否応なく、これに応じている格好に見える。
    中盤、戸高は、ジャブを使い、下がりながら距離を取りはじめた。 距離を取った戸高の左右ストレートがヒットするが体重ののりが甘く効果はうすい。
    うちつうたれつの打撃戦。前に出るヨックタイのパンチの方が有効。
    ヨックタイ優勢
  • 6R
    はっきりとしたポイントがほしい戸高。 戸高の方がジャブを多用し始めた。 ヨックタイのジャブは逆に少なくなった。
    戸高のジャブ、右ストレート、左右フックのボディがヨックタイにクリーンヒット。 戸高は手数が多くなり、戸高ペースの打ち合いに変化。
    ヨックタイは下がりはじめた。打ち合いに勝利した戸高、左右ストレートでヨックタイの顔面をはじく。
    戸高優勢
  • 7R
    のってきた戸高。 動きがよくなり、ジャブがテンポ良く出始める。 ヨックタイも負けずに打ち返すが、パンチに力がなくなってきたように見える。
    終盤ヨックタイは、足を使いアウトボクシングし、ペースを変えようとするが 逆に戸高に勢いづかせてしまう。
    戸高優勢
  • 8R
    ここまでの戸高のタフネス、スタミナは驚くべきものだと思う。 ヨックタイはこのラウンド、戸高を迎え撃とうとしているようだ。
    戸高が距離を詰めようとするところに左ジャブ、フックをこずく。 カウンター戦法に変更か?
    ラウンド終了間際、リズム良く飛び込んだ戸高の右フックがヨックタイのテンプルにヒット。
    ヨックタイ、糸の切れた操り人形のようにふらつき、ダウン。 ダウンとほぼ同時だったが、レフリーはダウンを宣告。
    戸高優勢
  • 9R
    ヨックタイ、グローブのテープをはがして出てきた。 レフリーにストップをかけさせ回復する時間を稼ごうとする作戦か?
    だかレフリーは続行を指示、戸高勝負をかけてラッシュを敢行。 必死で打ち返すヨックタイ。何とかふんばり戸高の攻勢がとまる。
    その戸高にヨックタイの強烈な右ストレートが戸高の顔面に直撃。 これを食った戸高、「ようし」と叫び気合を入れなおす。
    終盤戸高は左フックで再びヨックタイをふらつかせ、ラッシュをかける。 ヨックタイはふらつきながらも必死にパンチを返すが、スタミナはほとんど残っていないようだ。
    右フックを打ち込まれ、またふらつくが体をふって何とか追撃をかわし、倒れない。
    戸高優勢
  • 10R
    KO勝利目前の戸高。 ヨックタイはもう執念で立っているだけのようだ。 戸高ジャブ、ワンツーを一発一発しっかり打って、ダメージを与えようとしている。
    ヨックタイはガードと、時おり打ち返す力のないパンチでしのいでいるだけだ。 戸高の勢いは止まらない。
    終盤戸高、右ストレートを浴びせヨックタイをロープに飛ばし、ラッシュ。 ヨックタイはアップアップで、体が折れるが戸高の決定打がでず、倒れない。
    戸高優勢
  • 11R
    ヨックタイにはもう力が残っていないようだ。 ラウンド開始直後、戸高にもたれかかる。
    戸高は猛然とラッシュ。ヨックタイはふらつき、背をむきロープにもたれかかる。
    そのヨックタイの背中を追いかけ追撃をかけたところでレフリーはついにストップ。
    ヨックタイを救済した。

終了直後、戸高はおなじみのバク転を披露。 戸高と抱き合った、トレーナーのマック・クリハラ氏は戸高のデキに感激して涙を流していたように見えた。

  • 公式結果 王者戸高11RKO勝利で2度目の防衛に成功。
  • 【私の採点】
    109
    戸高秀樹910999101010101096
    ROUND1R2R3R4R5R6R7R8R9R10R11R12RTOTAL
    ヨックタイ・シットオー1091010109989892
<試合後の感想>
  • 戸高の精神力には驚かされた。
    激しい打ち合いを展開しながら、インタビューでは冷静に戻っていた。
    挑戦者強打のヨックタイの相打ちのパンチをまともにあびながらまったくひるまない。
    この選手はまるでパンチが怖くないのではないかと思うほどだった。 目をしっかり開いて激しいパンチの交換を行うのだから。
    戸高の勝因は、豊富なスタミナとタフネス、そして類まれな精神力、ハートの強さでそれらを最大限に生かしたことだろう。
    作戦も良かった。おそらく試合前からの作戦だと思うが接近しながら放つ右フックが有効だった。
    だが課題もはっきりと出た試合だと思う。
    1つはジャブ、アッパーに対するディフェンス。打ち気になっていたにしても、もらいすぎていたように思う。
    また、左フックがオープン気味になっていたため、威力が感じられなかったように思う。
    敗れた元王者、挑戦者ヨックタイだが、敗因はスタミナ不足ではないかと思う。
    前半5Rまでは、ペースを奪っていたに違いない。ジャブ、右アッパーをよくヒットさせ、戸高にダメージを蓄積させていた。
    後半戸高が捕まってしまうのではないかと感じさせるほどだった。
    だが、6R以降は、早くも息切れしていたように感じた。最後まで執念を見せてくれたが。 両選手の頑張りが素晴らしい試合内容になったと思う。
    1つ気になった点が、ダウンを奪われた次のラウンド、ヨックタイのグローブのテープが 大きくはがれていたこと。もしこれがヨックタイ陣営の作戦だったなら、残念だ。


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